目立たない矯正方法とは? 器具によって違う期間や費用を解説!

 歯並びが悪いとさまざまなデメリットがあります。自分で治す方法としていくつかの情報がネット上で横行していますが、余計に健康被害を増やす結果になることがほとんどです。悪い歯並びを治すには、歯列矯正が必要不可欠なのです。 しかし、歯列矯正と聞くと 「金属製の矯正器具で目立つ」  という悪いイメージがつきまといます。しかし、昨今は歯科治療技術が向上し、目立たない矯正方法を選択できる余地があります。そこで、目立たないように歯並びを治す方法について解説します。

1.目立たない歯並び矯正の方法とその費用と期間は?

 

1-1 マウスピース矯正

 「マウスピース矯正」は、透明な器具を用いて歯列矯正を行う治療法です。歯に被せるタイプの矯正器具であり、自宅での手軽な取り外しが可能な反面、装着する時間による治療効果の差が問題となることもあります。 通常のワイヤー矯正の場合、患者さんが自宅で取り外すことは想定していません。そのため24時間いつでも器具を装着しており、歯のケアが難しいケースも多いです。取外し可能なマウスピース矯正は必要に応じて取り外しができるという点がメリットですが、ほとんどのケースで1日20時間以上の装着が前提となるので、頻繁に取り外していると十分な矯正効果を得られないことがあります。

1 費用の相場

矯正治療は、その方法ごとに料金の相場は異なりますが、同じ矯正方法でも治療を受ける医療期間や患者さんの歯並びの状態によっても費用は異なります。 一概には言えませんが、マウスピース矯正の場合の矯正費用の相場は矯正の度合いにより異なります。平均的には上下合わせて80万円前後の費用がかかります。ですが、歯の移動量が少ない場合であれば60万円前後、移動量が多く治療内容が複雑な場合は140万円ほどの費用がかかる場合もあります。

2 期間の相場

治療期間についても、治療方法だけでなく患者さんの歯並びの状態と、どこまで歯並びを改善するかで治療にかかる期間も異なります。 マウスピース矯正の場合は、平均すると1年~2年の治療期間がかかることが多いです。これは後述する矯正治療と比較して短い治療期間であると言えますが、マウスピース矯正が対応できる症状が軽度の歯並びの悪さに限定されることに由来します。 マウスピース矯正は、後述する矯正方法と比較して、軽度の歯並びの改善に適しています。つまり、対応する歯列矯正の程度が弱めであるため、治療期間も短めの相場になるのです。ただし、マウスピース矯正は前述の通り「取り外しの容易さにより治療期間が長引きやすい」というデメリットがありますので注意が必要です。

1-2 舌側矯正

「舌側矯正」は、一般的な金属製のワイヤー矯正器具を、表側ではなく裏側、つまり舌のある側に装着する矯正方法です。「裏側矯正」「リンガルブラケット」とも呼ばれるこの矯正方法は、文字通り「裏側(舌側)である」という点が大きなメリットになります。 金属製のワイヤーや器具を用いた矯正治療は、どうしても「白い歯に、銀色の器具」という相反する色合いが目立ってしまいます。表側に装置を取り付ける場合だと、ちょっと歯を見せるだけで器具の銀色が目立ってしまいます。 舌側矯正は、歯の表側ではなく裏側に装置を取り付けることで、歯を見せても矯正器具を見られる心配はありません。歯の裏側なんて自分でも見ることが難しい部位ですから、日常生活で矯正器具を他人に見られてしまうことはまず考えられません。

1 費用の相場

舌側矯正にかかる費用の相場は、平均すると120万円です。矯正器具をオーダーメイドする場合だと費用相場は一回り高くなり、150万円~170万円が相場となります。費用面を重視するのであれば利用が難しくなる矯正方法であると言えます。

2 期間の相場

舌側矯正は、治療にかかる期間も通常のワイヤー矯正より不利になります。通常のワイヤー矯正の場合であれば2~3年で治療が完了することが多いのですが、舌側矯正の場合は3年が相場となります。ただし、マウスピース矯正のように「器具を取り外すことによる治療期間の延長」は起こりにくいです。

1-3 透明ブラケット矯正

「透明ブラケット矯正」は、通常のワイヤー矯正と同じ構造の矯正器具を使うのですが、その素材は透明な素材が使用されています。通常のワイヤー矯正の場合だと、ブラケット部分も金属製であり、前述の通り金属の色合いが白い歯に対して目立ちます。しかし、透明ブラケットの場合は透明であるため、多少の見た目の違和感こそありますが金属ブラケットほど目立つことはありません。 しかも、仕組み・構造自体は通常のワイヤー矯正と同じであり、矯正方法の違いによる矯正する力の低下は起こしません。つまり、審美性を高めながらも、矯正する力を損なうことが無いので、満足度の高い矯正治療を継続できるということになります。ただし、ブラケット自体は透明な素材でも、ワイヤー部分は金属製という場合もあり、ワイヤーが目立ってしまう場合があります。

1 費用の相場

透明ブラケットの費用相場ですが、安い場合であれば80万円程度、高いものだと130万円ほど費用がかかることもあります。基本的に、審美性を追求するほど費用が高くなると考えたほうが良いでしょう。

2 期間の相場

透明ブラケットは、使用する素材こそ違いますが、基本的な構造・仕組みは通常のワイヤー矯正と同じです。治療にかかる期間は矯正具合にもよりますがおおよそ2~3年で完了することが多いです。

1-4 ワイヤー矯正

最後は「ワイヤー矯正」です。最も一般的といえる矯正方法で、多くの人が一度は見たことがあるであろう金属製の器具を用いての矯正方法です。その見た目の悪さがワイヤー矯正の最大のデメリットとなります。また、矯正器具が金属であるため、「金属アレルギー」についてもデメリットとなります。 矯正方法としては最もスタンダードな方法です。治療効果が高く、細かい矯正から大きく歯を動かさなければならない矯正まで幅広く対応できます。実績の多い矯正方法でもあるため、症例の多さによる知識の蓄積と安心感もメリットとして挙げられます。

1 費用の相場

通常のワイヤー矯正の場合、費用相場は80万円前後に抑えられる事が多いです。治療が難しいケースの場合は費用が上がり、100万円前後まで上がる可能性もあります。ですが、舌側矯正や透明ブラケットと比較すると費用は抑えめになることが多いです。

2 期間の相場

ワイヤー矯正の治療期間は、2~3年で完了するケースが多いです。舌側矯正と比較すると早めに十分な治療効果を得られることが多いです。ですが徐々に歯を動かすことで矯正を行い、重度の不正咬合に用いられることが多いので、基本的な治療期間も長めになります。

2.歯並びの症状に合わせた目立たない歯並びの矯正方法とは?

次に、それぞれの矯正方法ごとに適している歯並びの問題について解説します。

2-1 マウスピース矯正が向いている歯並び

まず、マウスピース矯正が向いている歯並びの改善ですが、これは「軽度の歯並びの悪さ」が適しているとされています。軽度の「すきっ歯」など、歯の移動距離が短く、抜歯の必要性も無い場合に用いられることが多い矯正方法です。

他の矯正方法と比較すると、対応できる歯並びは少ないです。また、重度の不正咬合をマウスピース矯正で改善したいと考える場合、ワイヤー矯正等と比較して治療期間が長引いてしまう事が多いです。 また、前述の通りマウスピース矯正は取り外しが可能であるという点がメリットにもデメリットにもなります。軽度な歯並びの矯正とは言え、長い時間これを外していると治療期間が伸びたり、十分な矯正効果を得られない可能性が高いので注意が必要です。

2-2 舌側矯正が向いている歯並び

次に、舌側矯正が向いている歯並びについて解説します。舌側矯正では、マウスピース矯正では対応が難しい「交叉咬合」「上下顎前突」「叢生」といった不正咬合にも対応することができます。審美性が高く、しかも対応可能な歯並びも多いです。

ですが、デメリットがないわけではありません。まず、舌側に矯正器具を取り付けるので、どうしても違和感が大きくなります。実際に、歯の裏側に器具を取り付けているイメージを想像してみてください。普通にしていれば間違いなく舌が触れる位置に器具が装着されることになるので、日常生活における違和感は大きなものとなります。 これを使用する歯並びにもよりますが、基本的に表側矯正よりも治療に必要な期間は長くなります。そのため、その長い治療期間の間、器具に舌が当たる違和感に耐えられるということが条件となります。

2-3 透明ブラケット矯正が向いている歯並び

透明ブラケットは、基本的にどんな歯並びに対しても適していると言えます。透明ブラケットは最も適応の多い表側矯正と同じ仕組みでありながら、ブラケットが透明であるというだけであるため、基本的に表側矯正で対応できる歯並び全てに対応できます。 デメリットは、一般的な金属製のワイヤー矯正と比較して費用が高くなることですが、それ以外はワイヤー矯正の幅広い対応可能な幅と、金属製ではないというアレルギーの問題も解消できることで、現在では多くの人が矯正方法として選択している方法です。

ただし、透明ブラケットとは言え、すべてが透明というわけではありません。ブラケットほどではないとしても、ワイヤー部分が金属製だとそれなりに目立ちます。また、透明とは言えブラケットが全く見えないというわけでもありません。どうしても他人に矯正器具を見られたくない場合は舌側矯正を選択することも必要になります。矯正治療を担当する医師に、その点をしっかりと確認しておきましょう。

2-4 ワイヤー矯正が向いている歯並び

従来のワイヤー部分が向いている歯並びは、基本的にどんな歯並びでも問題ありません。幅広い不正咬合に対応することができ、費用も抑えられています。舌側矯正のような違和感も無いので、長期の矯正治療にも耐えやすくなっています。

ただし、最も費用を抑えられるのは従来の金属製の器具を用いた矯正治療です。昨今は前述の透明ブラケットや、歯の色に近いセラミック製のブラケットを利用した審美性の高い器具を用いた表側矯正も開発され、実際に多くの利用者がこれを利用しています。しかし、審美性を高めるとその分だけ費用もかさんでしまいます。 ワイヤー部分が適しているのは、審美性を高める必要がなく、金属製の器具を他人に見られても気にならないという場合です。また、金属アレルギーを持っていないことも条件となります。

3.まとめ

矯正治療と聞くと、従来の金属製のブラケットを使用した矯正治療を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、昨今では審美性を高め、人前に出る機会の多い仕事に就いている人でも気兼ねなく長期の治療が可能な矯正器具も数多く存在します。

矯正治療を受ける病院ごとに利用できる治療法は異なります。また、患者さんの治療に対する要望(どれくらい矯正したいのか、審美性はどこまで追求したいのか)によっても、適している矯正方法は異なります。この点については、初回のカウンセリングの時にきちんと話し合いをしておき、認識のズレを抱えたまま治療開始ということにならないようにしておきましょう。

監修者紹介

森デンタルクリニック
院長 森 健

矯正費用の高さや期間の長さで矯正自体を諦めて欲しくないという思いから「前歯部分矯正専門の歯科医院」を開業。「笑顔」にこだわり、来院したすべての患者様が自分史上最高の笑顔を手に入れられるような治療を目指している。

2008年3月 明海大学歯学部卒業 2008年4月~2009年3月 明海大学病院勤務 2009年4月~2017年7月 都内歯科医院勤務 2017年9月~ Mori Dental Clinic開院

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