八重歯を矯正するための費用、期間は? できるだけ安くする方法とは?

「八重歯」とは、普通に歯が生えるための十分なスペースが存在しないことにより、異常な位置・角度で生えている歯のことを言います。その特性上、いわゆる「犬歯」が八重歯になりやすいのですが、犬歯=八重歯というわけではありません。隣り合った歯に干渉されてずれて生えてしまった歯のことを八重歯と言うため、他の歯でも八重歯になる可能性があります。

さて、八重歯にはいくつかのデメリットがあります。第一に「歯磨きが難しくなる」こと、第二に「口の中を怪我しやすくなる」こと、第三に「他の歯に負担がかかる可能性が高い」ことです。どのデメリットも口腔内のトラブル発生のリスクを高めるものであり、治療すべき対象となります。
そこで、八重歯を矯正するにあたってどれくらいの費用、期間がかかるのか、費用を安く抑える方法について解説します。

1.八重歯矯正にかかる費用(値段)の目安は?

八重歯を治す際に必要な費用なのですが、これは「どういった治療法を用いるか?」によって費用相場が異なります。実際にはそれだけではなく、患者さんの歯や顎の状態、治療における経過なども加味して費用は変化しますが、大きなポイントとしてはやはり治療方法によって費用が大きく異なるという部分です。

1-1 ブラケット矯正

歯列矯正として最も知名度が高いのは「ブラケット矯正」でしょう。みなさんも、学校のクラスメートや職場の人が、歯に金属製の器具を装着しているのを見かけたことがあるかと思います。ブラケット矯正は、金属製の器具を歯に取り付け、これをワイヤーで引っ張ることで歯列矯正を行います。
ブラケット矯正の場合、重度の八重歯にも対応できるという点が大きなメリットになりますが、金属製故に目立つという点が大きなデメリットとなります。また、審美性の高いブラケット(歯に対して目立たない色の器具)を使用する場合は、費用が高くなります。
その費用ですが、一般的な金属製のブラケット(メタルブラケット)の場合であれば、費用相場は50万円~80万円程度で済むことが多いです。ただし、審美性の高い器具を使ったり、治療が難しい症例の場合であれば、100万円以上の治療費がかかることもあります。

1-2 リンガルブラケット矯正

次に解説するのは「リンガルブラケット矯正」です。基本的な器具や原理はブラケット矯正と同じなのですが、
リンガルブラケット矯正の最大のメリットは「目立たない」
ということにあります。
「リンガル」とは「舌側」という意味であり、要するにブラケットを歯の表側ではなく、裏側に装着する矯正方法です。普通、他人に歯の裏側を見られることなんてありませんから、他人にブラケットを見られること無く治療を継続できます。後述しますがブラケット系の矯正治療は一般的に1~3年の治療期間が必要であり、長い期間器具を取り付けるという特性上、目立たないというメリットは大きいのです。

その反面でデメリットもあります。リンガルブラケットは通常の表側ブラケットと比較して利用できる症例が限られているという点です。また、舌側に器具を取り付けるという特性上、舌に当たるので違和感は表側矯正と比較して大きなものになりやすいです。
加えて、リンガルブラケットは表側ブラケットと比較して治療費もかかりやすくなります。一般的な症例であれば、100万円~120万円ほど費用がかかることになりますし、難しい症例の場合はさらに掛かる可能性も考えられます。

1-3 マウスピース矯正

次は「マウスピース矯正」です。これは、透明なマウスピースを歯に装着して、歯を動かすことで八重歯を矯正します。ブラケット矯正と比較して歯を動かす力が乏しく、軽度の八重歯を矯正する際に用いられることが多いです。
かかる費用ですが、ブラケット矯正とほぼ同水準の費用がかかることが多いです。ただし、マウスピース矯正にもいくつか種類があり、最先端のものとなるとさらに費用がかかる可能性が高いです。

1-4 部分矯正

次は「部分矯正」です。これまでの矯正方法は、「歯並び全体を改善する」というものです。その分、治療費も治療期間も長引きやすいのですが、それらの問題を解決するのが部分矯正です。
部分矯正では、八重歯とその周辺の歯並びだけを重点的に改善していきます。取り付ける器具も矯正の対象となる歯にだけ取り付ける形になりますので、感じる違和感は比較的少なめです。また、重点的な治療となるため、治療に必要な期間が短いという点も大きなメリットです。ただし、部分矯正は症例によっては適用できない場合もあります。
費用については、全体矯正と比較して半額以下で済むことが多いです。

1-5 セラミック矯正

最後は「セラミック矯正」です。これは矯正治療と言うのは少し異なるのですが、八重歯を治す方法として用いられることもある治療法です。この治療法は、歯を削って、その上にセラミック製の被せ物をするという方法です。つまり、通常の状態と比較してずれている部分を削り、削った分の歯をセラミックで補い、見た目を整えるという方法です。

最大のメリットは「治療期間が短い」ということですが、これについては後述します。また、セラミック製の被せ物を装着するため、見た目がきれいになるという点もメリットになります。ホワイトニングとは異なる手法で歯を白くできます。しかし、セラミックを被せるためとは言え、健康な歯であっても削らなければなりません。歯を削ることは、その歯の寿命も削ってしまうことになります。
費用については、セラミック治療1本につき10万円前後の費用がかかります。また、他の矯正治療とセラミック矯正を組み合わせる場合もあります。

2.八重歯矯正で必要な期間

次に、八重歯矯正に必要な期間について解説します。

2-1 全体矯正の場合は数年の時間が必要

まず、八重歯の矯正においてブラケットやマウスピースなどで歯並び全体を矯正する場合です。この場合は、通常は治療完了まで2~3年かかることが多いです。1年未満で治療が終わることはほとんど無いと言えます。
歯並び全体を矯正する場合は、どうしても時間がかかるものです。ブラケットにしてもマウスピース矯正にしても、何年もの時間をかけて歯並びを整えていきます。また、その間に何度も歯科医院へ通院し、器具の調整や交換などを行う必要があります。長丁場になりますので、通院しやすい歯科医院だと利便性が高いです。

2-2 部分矯正なら1年前後

次に、部分矯正で八重歯を矯正する場合です。この場合、全体矯正よりも短い期間で矯正が完了することが多いです。具体的には、1年前後で矯正が完了することが多いです。ただし、重度の八重歯の場合は治療期間が長引きます。

さらに、重度の八重歯の場合、部分矯正が利用できないケースもあります。部分矯正は、全体の歯並びに問題がなく、軽度の矯正に用いられる事が多い治療法です。そのため、早ければ数ヶ月で治療が完了する症例もある反面で、治療が難しい症例の場合だと部分矯正では八重歯を改善できないことも多いのです。
この点については、歯科医院でカウンセリングを受けた時に、おおよその判断ができます。歯科医院の矯正治療のカウンセリングでは、ある程度は患者さんの要望も聞き入れられます。しかし、仮に患者さんが部分矯正を希望していたとしても、歯科医師の方から「全体矯正をお勧めする」という反応が返ってきた場合は、部分治療では改善の見込みが薄いことを意味します。

歯科医院によっては、部分矯正でも治療できる見通しを立てる場合もあります。いくつか歯科医院のカウンセリングを利用して、治療費や治療方法など、最も納得できる条件を出したところで治療を受けると良いでしょう。

2-3 セラミック矯正なら3ヶ月~半年

最も早く八重歯を改善できる方法としては、セラミック矯正が挙げられます。セラミックで八重歯を治療する場合、早ければ3ヶ月前後、遅くとも半年ほどで八重歯を治すことができます。また、歯の形や色についてもある程度は融通がききますので、仕上がりの満足度も高めです。特に、ブラケットやマウスピース矯正など、長期間器具を装着しなければならない治療法を避けたい方の場合、メリットが大きいといえます。とは言え、デメリットが無いというわけでもありません。既に「歯を削らなければならい」というデメリットについて触れていますが、デメリットは他にもあります。それは、あくまでもセラミックは人工物であり、自然の歯とは性質が異なるという点です。

歯を動かす通常の矯正であれば、抜歯やスライス(空間を確保するために、数本の歯の側面を数ミリ削る)した歯はさておき、あくまでも自分の歯を残せます。しかし、セラミック矯正は削った歯の上にセラミックの被せ物を装着します。これにより発生するデメリットは、歯を削ることによる歯の寿命の削減と、セラミックの「割れやすい」という性質です。
セラミックは、自然な歯の色合いに近いことから歯科治療に用いられることが多い素材です。このセラミックは、いわば「陶器」なので、衝撃に弱く、割れやすいという特徴があります。もちろん、そう簡単に割れてしまう事はありませんが、硬いものを食べたときや事故にあったときの衝撃などで割れてしまうリスクが、自然な歯よりも高いのです。

もちろん、割れてしまったセラミッククラウンは交換することもできますが、これにも当然ながら費用と治療期間がかかることになります。自然な歯であれば、虫歯などにかからなければ矯正後に治療を必要とすることはありません。もし、歯に衝撃を受けやすい仕事に就いている場合、短期間でセラミック矯正をし直さなければならなくなる可能性があることを理解しておく必要があります。

3.できるだけ八重歯の矯正を安くする方法とは?

最後に、八重歯の矯正を出来る限り安く抑える方法について解説します。

3-1 部分矯正やセラミック矯正が安い

まず、一般論としては、全体矯正よりも部分矯正やセラミック矯正のほうが治療費を抑えられます。「八重歯を改善したい」ということに特化するのであれば、これらの治療法を選択すれば安い料金で八重歯を治せる可能性が高いです。
ただし、これらの治療方法は前述のとおり一定のリスクを抱えることになります。その結果、治療費がかさんでしまう可能性があるということは理解しておく必要があります。また、症例や希望する治療結果によっては、これらの治療を受けられない可能性もあることも念頭に置いておきましょう。

3-2 審美性は追求しない

次に、費用を安く抑える方法としては「審美性を追求しない」ということです。例えば、ブラケット治療は金属製の器具を使用する場合は見た目が悪いです。白い歯に、金属製の器具は非常に目立ちます。人前に立つ機会の多い方にとってはデメリットが大きくなります。その問題を解消するために「審美ブラケット」というものがあり、歯に近い色や透明な器具を用いることで見た目の悪さを改善しています。

しかし、審美ブラケットは金属製のブラケット(メタルブラケット)を用いた治療と比較して、費用がかさむことが多いです。一般的に、審美ブラケットを用いた場合は20~40万円ほど治療費が余計にかかります。費用面を重視するのであれば、金属製のブラケットを使用した治療を受けることをお勧めします。
ただし、金属アレルギーのある方の場合、非金属の器具を用いる必要があります。

3-3 カウンセリングで費用を知る

どの治療法であっても、基本的に「安く治療できる歯科医院」を探すことが重要です。同じ症例で同じ治療法を用いる場合でも、治療を受ける歯科医院によって費用は異なります。自由診療に属するため、ある程度の相場はありますが基本的に歯科医院ごとに料金設定は異なります。

ただし、あまりにも安く治療を受けられるところは不安です。同じ治療法なのに、他の歯科医院よりも何万円、何十万円と安い場合は、治療内容がお粗末になる可能性を否定できません。選択肢にそうした歯科医院がある場合、ネットで口コミを見つけてみましょう。公式サイトの口コミはちょっと信用できませんので、外部の口コミサイトなどを利用して、その歯科医院の評価を探してみてください。仮に予想外に安い歯科医院でも、料金以外の部分で良い評価を受けているところであれば、安く、しっかりとした治療を受けられる可能性があります。

4.まとめ

決して「安ければ良い」というわけではありませんが、少しでも安い予算で八重歯を治せればそれに越したことはありません。場合によっては100万円を超える費用がかかることもありますが、そう気軽に支払える金額とは言えません。

とは言え、誰でも安い料金で八重歯を治せるというわけでもないのも事実です。人によって八重歯の状態も違いますので、安い治療法があってもそれでは十分に改善できないということもあります。歯科医師の診断次第ではありますが、どうしても費用がかさむ治療法でないと治せないのであれば、審美性を考慮せず、少しでも安い方法で治療するようにしましょう。

監修者紹介

森デンタルクリニック
院長 森 健

矯正費用の高さや機関の長さで矯正自体を諦めて欲しくないという思いから「前歯部分矯正専門の歯科医院」を開業。「笑顔」にこだわり、来院したすべての患者様が自分史上最高の笑顔を手に入れられるような治療を目指している。

2008年3月 明海大学歯学部卒業
2008年4月~2009年3月 明海大学病院勤務
2009年4月~2017年7月 都内歯科医院勤務
2017年9月~ Mori Dental Clinic開院

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