前歯の噛み合わせや歯並びが悪い場合、見た目以外にもさまざまな影響が現れます。例えば歯周病や虫歯になりやすかったり、胃腸への負担が増えたりすることなどが挙げられます。噛み合わせや歯並びに問題がある場合は、適切な治療を受けるのが良いと言えるでしょう。
この記事では、前歯の噛み合わせが正常かどうかを判断するポイント、治療した方が良い症状、噛み合わせが悪いまま放置しておくことの悪影響などについて解説します。
目次
前歯の嚙み合わせが正常であるか判断するポイント
自身の前歯の噛み合わせが正常かどうか、気になる方も多いでしょう。
ここでは、噛み合わせが正常かどうかを判断するポイントについて紹介します。
上の前歯が下の前歯よりも3mm程前にあるか
上と下の前歯の重なり具合を確認してください。正常な状態では、下の前歯よりも上の前歯が3mm程度前に出ています。ただ、上の前歯が5mm以上前に出ている場合は、注意が必要です。
上下の前歯が中心線で線対称であるか
上と下の前歯の中心線が一致しているかどうかは、非常に重要です。前歯の中心線は「正中線」と呼ばれ、上下の前歯の正中線が一致している状態が理想的な噛み合わせとされています。そのため、正中線が一致していない場合、噛み合わせがずれている可能性があると考えられるでしょう。
Eラインが綺麗であるか
Eラインがそろっているかも重要なポイントと言えます。Eラインとは、顎先から鼻先までを結んだ線を言います。顔を横から見た時、口がEライン上か内側にある場合は、Eラインがきれいな状態です。一方で、口がEラインから出ている場合は、前歯の噛み合わせが正しくない可能性があります。
前歯の噛み合わせの深さが3mm程であるか
噛み合わせの深さも重要です。噛んだ時に上の前歯と下の前歯が重なる深さは、3mm程度が正常となります。上下の前歯が重ならない場合や重なりが深い場合などは、食事の際に顎関節が痛くなったり、歯茎を傷つけたりする可能性があるため、注意が必要です。
スムーズに口を閉じられるか
口を閉じる際、顎に違和感がなくスムーズに動かせるか確認してください。歯並びが悪い場合や顎が前方に出ている場合、口を閉じるときに違和感を覚えることがあります。また、噛み合わせ以外にも、筋肉のトラブル、顎関節の問題などの可能性もあるため、注意が必要でしょう。
歯科矯正をした方が良い前歯の嚙み合わせ
歯科矯正した方が良いかどうかは、見た目で判断はできません。正常な噛み合わせとは、上と下の歯がしっかりと噛み合わさって、問題なく食べ物を噛み砕ける状態を言います。この状態になっていない場合は、歯科矯正を検討するのが良いでしょう。
ここでは、歯科矯正をした方が良い症例を紹介します。
過蓋咬合(かがいこうごう)
下の前歯に上の前歯が重なって、下の前歯が見えない状態を言います。歯茎が過度に目立ってしまい、見た目を気にしてしまう人も多いでしょう。
また、下の前歯が制限されるため、食べ物を噛むのが困難になることもあります。
開咬(かいこう)
上の前歯と下の前歯をかみ合わせた時、すき間ができてしまう状態を言います。口を閉じても空気が漏れてしまうため、発音に影響が出てしまうでしょう。
また、前歯で食べ物を噛むことができないため、食事がしづらくなる傾向があります。
空隙歯列(くうげきしれつ)
すき間のある歯並びの状態です。歯と歯の間にすき間があるため、見た目が気になったり発音に影響を及ぼしたりします。
叢生(そうせい)
歯並びが不規則で、重なっている状態です。「乱杭歯(らんぐいば)」とも呼ばれています。歯の生えるスペースが狭かったり、顎が小さかったりする場合に起こる症状です。
歯が重なっているので、歯ブラシが届きにくく歯周病や虫歯の可能性が高くなります。
交叉咬合(こうさこうごう)
上の歯と下の歯の噛み合わせが交叉している状態です。通常の噛み合わせは、上の歯が下の歯に被さる形となります。交叉咬合は、歯の一部の噛み合わせが上下逆になっている状態です。噛み合わせが交叉していることで、歯磨きがしづらく、歯周病や虫歯の原因になります。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上の前歯が前方に出ている「出っ歯」と呼ばれる状態です。口が閉じにくくなり、口呼吸になりやすいと言えます。また、前歯で食べ物を噛み切れない場合もあるでしょう。
見た目だけでなく、歯の目的である噛む機能に問題が出ている状態と言えます。
下顎前突(かがくぜんとつ)
下の前歯が前方に出ている状態です。「た行」「さ行」が発音しにくい影響があります。また、食べ物を前歯で噛み切れないという問題も考えられるでしょう。
上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)
上の前歯と下の前歯の両方が前方に出ている状態です。口をとがらせているような見た目になり、コンプレックスに感じる人も多いでしょう。
また、上下の前歯が合っていないため、食べ物を前歯で噛み切れない問題もあります。さらに、口を閉じにくい状態のため、口の中が乾いて歯周病や虫歯のリスクが高くなる傾向があります。
前歯の噛み合わせを治療する方法
前歯の噛み合わせを治療する方法には、大きく分けて「歯列矯正」「外科的矯正」の2種類があります。歯列矯正は、矯正器具で歯に力を加えて噛み合わせのバランスを整えていく方法です。外科的矯正は手術によって顎の骨を移動させる方法と歯列矯正の組み合わせとなります。
マウスピース矯正(インビザライン)
透明のマウスピースを口の中に入れて、徐々に歯を動かしていく歯列矯正です。見た目に目立つことがないため、他人から気づかれにくいと言えるでしょう。
ただし、骨格に問題がなく軽度の矯正でしか適応できません。また1日20時間以上装着する必要があるため、自身の生活習慣にあっているかどうか検討が必要です。
ワイヤー矯正
歯にブラケットを装着し、ワイヤーを通すことで歯に力を加える歯列矯正です。歯の表面にブラケットを装着する「表側矯正」、歯の裏側にブラケットを装着する「裏側矯正」などの種類があります。またブラケットやワイヤーにも種類があり、目立ちにくいものを選択することが可能です。
外科的矯正
骨格に問題があり、骨を移動させる必要のある場合に選択する方法です。全身に麻酔を行い手術するため、体への負担が大きくなります。しかし骨を大きく移動させることができるため、改善効果が期待できるでしょう。
前歯の噛み合わせを治療するなら森デンタルクリニック
前歯の噛み合わせが気になる場合は、前歯だけの部分矯正を行っている森デンタルクリニックがおすすめです。
森デンタルクリニックでは「後戻りが少ない」「治療が短期間」「痛みが出にくい」治療を提供しています。前歯だけの部分矯正のため、費用を抑えることも可能です。
カウンセリングにて個人に合わせた模型を作成し、個人に合った方法で治療が進められます。気になる方は、一度無料相談を受けてみるのも良いでしょう。
前歯の噛み合わせが悪い原因
前歯の噛み合わせが悪い場合、その原因は先天的なものと後天的なものに分けられます。それぞれの原因は、以下の通りです。
先天的要因
顎の骨の形は、遺伝の可能性が高いです。親が顎の形が悪くて噛み合わせに問題がある場合は、子どもも同じ症状になる可能性が高いと言えるでしょう。
後天的要因
後天的な要因としては、次のものがあります。
- 歯ぎしりや食いしばりが激しい
- 寝る姿勢がいつも同じ方向
- 頬杖をつく癖
- 歯を舌で押す癖
- 指しゃぶり
- 口呼吸
これらの原因は、子どものころから継続されてきたものが多い傾向があります。
前歯の噛み合わせが悪いことによる影響
前歯の噛み合わせが悪い状態で放置すると、さまざまな影響が現れます。
主な影響としては、次の通りです。
歯周病や虫歯になりやすくなる
歯のかみ合わせが悪く、重なり合っていたり凸凹した状態になっていたりする場合、歯ブラシが届かず、歯磨きが困難になります。汚れが溜まったままの状態となるため、歯周病や虫歯になる可能性が高くなるでしょう。
歯に負担がかかる
噛み合わせが原因で、片側だけで噛む癖がついている場合、噛んでいる方の歯に負担がかかります。一方の歯に負担がかかると割れたり亀裂が入ったりする場合があるため、歯の寿命に影響が出るでしょう。最悪の場合、抜歯の可能性もあります。
発音がしにくくなる
歯並びが悪いと、歯のすき間から空気が漏れてしまいます。話す際、空気の漏れで正しく発音ができない可能性があるでしょう。特に「た行」「さ行」の発音が難しくなります。
肩こりや頭痛に繋がる場合がある
噛む動作は「咬筋(こうきん)」と呼ばれる筋肉を使います。咬筋は肩や首、頭にもつながっているため、噛み合わせが悪いと筋肉が緊張して肩こり、首こり、頭痛などを引き起こす可能性があるでしょう。
外見に影響が出る場合がある
噛み合わせが悪い場合、外見にも影響が出ます。顔の筋肉のバランスが悪くなり、しわの入り方、目の大きさが左右で異なるなどの症状が現れる可能性があるでしょう。
顎関節症になる可能性がある
顎関節症(がくかんせつしょう)とは、口を開けた際に骨の音がなったり、口を開けること自体ができなくなったりする症状です。噛み合わせが悪い場合、顎に負担がかかり顎関節症を引き起こす可能性があります。
消化が悪くなることがある
食べ物を噛む際、噛み合わせが悪いと食べ物を適切に砕くことができません。砕いていない状態で食べ物を飲み込むと、消化不良を引き起こしてしまう可能性があるため、注意が必要です。
前歯の嚙み合わせに関連するよくある質問
ここでは、前歯のかみ合わせに関してのよくある質問について紹介します。
噛み合わせが悪いかどうか確かめる方法は?
噛み合わせを確かめるには次の方法があります。
- 噛んだ時、上下の前歯が強く当たっていない
- 上下の奥歯がしっかりと噛み合っている
- 噛み合わせたときにすき間がない
- 笑った場合に歯茎が強調されない
- 口を開けて上下の歯並びが凸凹していない
過蓋咬合の予防策はありますか?
過蓋咬合(かがいこうごう)とは、噛み合わせが深くて上の歯が下の歯を覆い隠すほどの症状です。過蓋咬合に対しては、次の予防策が効果的と言えます。
- 歯を舌でさわる癖を治す
- うつぶせ寝をしない
- 頬杖をやめる
- 口呼吸ではなく鼻呼吸にする
- 運動をして全身に筋肉をつける
- 猫背をやめる
前歯の噛み合わせの正しい位置は?
正しい噛み合わせでは、下の前歯は上の前歯よりも内側になります。この状態で奥歯が噛みあっていれば、噛み合わせは正常であると判断して問題ないと言えます。
前歯で食べ物を噛み切れないとき、歯列矯正をした方が良いですか?
歯列矯正をした方が良いと言えます。
年齢が若い時は、食べ物を前歯で噛み切れなくても特に不便は感じないでしょう。しかし、年齢を重ねると、顎や奥歯に大きな負担がかかってしまい食べるのが困難になる可能性があります。
前歯の噛み合わせを治すにはいくらくらいかかりますか?
前歯の噛み合わせを治す場合、歯列矯正を行います。歯列矯正にはいくつかの種類があり、それぞれ値段が異なる状況です。目安としては次の通りとなります。
歯列矯正の種類 |
おおよその値段 |
マウスピース矯正 |
約10万円~50万円 |
ワイヤー矯正(表側矯正) |
約15万円~60万円 |
ワイヤー矯正(裏側矯正) |
約50万円~80万円 |