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歯科矯正にかかる平均期間はどれくらい?短期間で済むケースと工夫も紹介

歯科矯正にかかる平均期間はどれくらい?短期間で済むケースと工夫も紹介

歯科矯正にかかる期間は、装置の種類や年齢、治療範囲によって異なります。
短期間で完了する症例もあれば、計画に時間を要するケースもあり、治療前に平均的な目安を知っておくことが大切です。

また、口腔内の状態は個々で異なります。
「自分の場合はどれくらいかかるのか」を判断するには、期間を左右するポイントの理解が欠かせません。

この記事では、装置ごとの平均期間や短期間で済むケースの特徴を整理しました。
治療を効率よく進めるための工夫も紹介するので、矯正を検討中の方は、期間の見とおしを立てるための参考にしてください。

工程別|歯科矯正の基本的な期間

歯科矯正は、治療前の準備期間から歯を動かす工程、整えた歯並びを維持する保定期間まで、段階に分かれて進みます。
ここでは、それぞれの工程の基本的な平均期間を解説します。

  • ・矯正前
  • ・矯正中
  • ・保定期間

上記を理解することで、治療の流れを把握しやすくなるでしょう。

矯正前

矯正を始める前に、むし歯や歯周病の有無を確認し、口腔内を治療に適した状態へ整える準備が必要です。
検査内容によって日数は前後しますが、精密検査や診断を丁寧にすることで、治療計画の精度が高まりやすくなります。

初診相談から精密検査、診断説明までに1〜2ヶ月ほどかかるのが一般的です。
検査ではレントゲン撮影や口腔内スキャンが行われ、歯や骨格の状態を細かく確認します。

治療前にむし歯や歯周病が見つかった場合は、先に処置を済ませなければならず、計画より期間が延びることがあります。

矯正中

歯を実際に動かす期間は、矯正方法や歯並びの状態によって大きく変わります。
動かす距離が長い場合や、噛み合わせの改善が必要なケースでは、比較的時間がかかる傾向です。
一方、歯列の乱れが軽度であれば、短期間で完了するでしょう。

一般的な治療期間は、1〜3年が目安です。
マウスピース矯正は、マウスピースを定期的に交換しながら段階的に歯を動かし、ワイヤー矯正では通院ごとに調整します。

保定期間

矯正で整えた歯並びは、治療直後はまだ安定しておらず、そのままでは元の位置へ戻ろうとする力が働きます。
この「後戻り」を防ぐために必要なのが、保定期間です。
保定装置(リテーナー)を一定時間装着し、歯と骨が安定するまでサポートします。

歯の動きや治療の内容によっても異なりますが、保定期間の目安は1〜3年程度です。
なお、動かした量が大きい場合は、より長い期間の装着が推奨されることがあります。
リテーナーの種類には、取り外し式と固定式があり、生活スタイルや口腔内の状況に合わせて選べます。

装置別|歯科矯正にかかる平均期間

歯科矯正に必要な期間は、使用する装置ごとに異なります。
ここでは、代表的な装置別の平均期間を整理しました。

  • ・マウスピース矯正
  • ・ワイヤー矯正

装置ごとの特徴を理解することで、自分に合った治療法を選びやすくなるでしょう。

マウスピース矯正

透明のマウスピースを段階的に交換して歯を動かす治療法です。
装置が目立ちにくく、食事や歯磨きの際に外せるため多くの方に選ばれています。
ただし、計画どおり進めるには長時間の装着が欠かせません。

治療期間は症例によって幅がありますが、一般的には1〜3年が目安です。
以下に、治療期間を左右する要素をまとめました。

項目内容
治療期間の目安1〜3年
短期間で終わりやすい症例歯の移動量が少ない、前歯部のみの軽度不正
期間が延びやすい症例噛み合わせ調整が必要、大幅な歯の移動が必要
期間に影響するおもな要素装着時間(1日20時間以上)、追加のマウスピースの有無

装着時間が不足すると、マウスピースが歯に適切にフィットせず、計画どおりに歯が動かないこともあるため注意が必要です。

関連記事:インビザラインの治療期間はどれくらい?期間を短くする方法も紹介

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットを装着し、ワイヤーの力で歯を動かす治療法です。
ここでは、代表的な3種類のワイヤー矯正の平均期間の違いや特徴を整理します。

  • ・表側矯正
  • ・裏側矯正(舌側矯正)
  • ・ハーフリンガル

装置ごとの特性を比較して、治療計画に役立てましょう。

表側矯正

歯の表面にブラケットを装着し、ワイヤーで力を加えて歯を動かすもっとも一般的な方法です。
装置が表側にあるため目立ちますが、微細な調整がしやすく、多くの症例に対応できます。

平均的な治療期間は、1〜3年程度が目安です。
以下に治療期間の目安と、時間に影響する要素をまとめました。

項目内容
治療期間の目安1〜3年
短期間で終わりやすい症例軽度〜中等度の乱れ、移動量が少ない歯列
期間が延びやすい症例噛み合わせの大幅調整、抜歯が必要なケース
期間に影響するおもな要素通院頻度、ワイヤー調整の間隔、口腔内トラブルの有無

装置のコントロール性が高いため、計画どおりに進めやすい治療法といえるでしょう。

裏側矯正(舌側矯正)

ブラケットとワイヤーを歯の裏側に装着する方法で、見た目に配慮しながら治療できる点が大きなメリットです。
装置が外側からほとんど見えないため、審美性を重視する方に選ばれています。
一方、表側矯正と比べると調整が複雑になりやすく、治療期間が長くなるケースもあります。

治療期間の目安は、 2〜3年程度です。
以下に、治療期間の傾向を整理しました。

項目内容
治療期間の目安2〜3年
短期間で終わりやすい症例前歯部の軽度な歯列不正
期間が延びやすい症例奥歯の大きな移動や噛み合わせ調整を伴うケース
期間に影響するおもな要素装置の操作性、通院頻度、ブラッシング難易度による口腔内トラブル

歯の裏側はスペースが限られているため、ワイヤーの操作性が低く、移動の効率が下がりやすい点が期間に影響します。

ハーフリンガル

ハーフリンガルは、上の歯に裏側矯正、下の歯に表側矯正を組み合わせる方法です。
見た目への配慮と治療効率の両立を図れる点が特徴で、裏側矯正よりも調整しやすく、装置の違和感も比較的少ない傾向です。
審美性を保ちながら治療負担を抑えたい方に適した選択肢といえるでしょう。

治療期間は1.5〜3年程度が目安です。
すべて裏側矯正で治療するより、やや期間が短めで済む傾向です。
ただし、上下で装置の種類が異なるため、ブラッシング方法を工夫しなければ、期間が延びる場合があります。

歯科矯正が短期間で済むケース

歯科矯正は、口腔内に問題がない場合や移動距離が小さい症例では、治療が比較的早く進む傾向があります。
ここでは、短期間で治療が終わりやすい代表的な4つのケースを整理します。

  • ・口腔内にトラブルがない
  • ・歯の移動範囲が小さい
  • ・抜歯が不要である
  • ・年齢が若い(子ども)

治療計画を立てるために、どの要素が期間に影響するのかを知っておきましょう。

口腔内にトラブルがない

むし歯や歯周病などの問題がない状態で矯正を始められると、治療が中断されるリスクが少ないため、スムーズに進みやすくなります。
口腔内のトラブルは先に処置する必要があり、その分の期間が延びるためです。

とくにワイヤー矯正は装置周辺に汚れが溜まりやすく、むし歯や歯肉炎が起こると調整の延期を要します。
マウスピース矯正でも、装着時間が確保できないほど症状が進むと、治療計画の見直しにつながる場合があります。

歯の移動範囲が小さい

前歯の軽度なガタつきや、歯列の一部分のみを整えるケースでは、歯の移動量が限られるため、比較的短期間で目標の位置に到達しやすくなります。

一方、奥歯を含めた噛み合わせ全体を調整する場合や、歯列全体の拡大・圧下などを伴う症例では、治療に時間を要します。
歯を動かす距離が大きいほど、組織が安定するまでの時間もかかるため、慎重に進めることが求められるでしょう。

抜歯が不要である

歯を抜かずに治療する場合、移動させる距離が比較的少なく済むため、歯列が揃うまでの時間も短縮されます。
また、抜歯後のスペースを閉じる工程がいらない点も、期間が短くなるポイントです。

一方、歯列が大きく乱れている場合や、スペース不足が顕著なケースでは、抜歯が必要となることがあります。

年齢が若い(子ども)

成長期の子どもは、顎の骨がやわらかく、歯が動きやすい状態です。
そのため、成人と比べて歯の移動速度が速く、同じ内容の歯の移動だけを比較すると治療がスムーズに進む傾向があります。
とくに顎の成長を利用できる時期(1期治療)は、歯列全体のバランスを整えやすく、効率的な治療が期待されます。

永久歯を整える治療(2期治療)を段階的にする場合は、成長管理を含めると総期間が長くなるケースもあるため、矯正を開始するタイミングが重要です。
歯や顎の成長状態は個人差があるため、早めに検査を受けて最適な開始時期を把握しておくとよいでしょう。

歯科矯正の期間を短縮する工夫

歯科矯正は、治療計画に沿って進めることで効率よく歯を動かせますが、日常の過ごし方や装置の扱いによって、進行速度が左右されることがあります。

ここでは、治療をスムーズに進めるための具体的な工夫を4つ紹介します。

  • ・通院頻度を守る
  • ・口腔内の自己ケアを徹底する
  • ・リテーナーやマウスピースの装着時間を守る
  • ・装置の取り扱いを守る

治療を早めるために特別な近道があるわけではありませんが、基本的なルールを徹底することで、期間が延びるリスクを抑えられるでしょう。

通院頻度を守る

通院間隔が空いてしまうと、調整のタイミングを逃し、歯の移動が予定より遅れることがある点に注意が必要です。
計画どおりに受診することで、ワイヤーの交換やマウスピースの進行が適切に管理され、治療の遅延を防ぎやすくなります。

とくにワイヤー矯正は、細かな調整を重ねながら歯を動かすため、調整のタイミングが治療の成否に直結します。
マウスピース矯正でも、フィットが悪いまま進行すると、追加のマウスピースを製作しなければなりません。
治療を長引かせないためにも、治療頻度を守りましょう。

口腔内の自己ケアを徹底する

口腔内にトラブルが生じると、治療の一時中断や調整の延期を要し、結果的に治療期間が長くなる可能性があります。
治療をスムーズに進めるためには、毎日の丁寧なセルフケアが欠かせません。

以下に、自宅でできるセルフケアをまとめました。

  • ・ワイヤー・ブラケット周辺の丁寧なブラッシング
  • ・タフトブラシ・歯間ブラシの併用
  • ・フッ素配合歯磨き剤の使用
  • ・マウスピースの毎日の洗浄
  • ・食後すぐのうがい・ブラッシング

また、歯科医院での定期的なクリーニングも効果的です。
セルフケアだけでは除去しきれない汚れを落とすことで、口腔環境が整えられ、治療を計画どおりに進めやすくなります。

リテーナーやマウスピースの装着時間を守る

マウスピース矯正は、1日の装着時間が不足すると歯の動きが遅れ、予定していた位置に到達しにくくなります。
保定期間に使用するリテーナーも同様で、装着を怠ると歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起きやすくなります。
短時間の未装着でも影響が出ることがあるため、自己判断で時間を短縮するのは避けるべきです。

生活リズムに合わせて装着習慣を作ることで、無理なく継続しやすくなります。
治療を計画どおりに進めるためには、外食や運動などの装着が難しい場面を見越して調整するといった、日常の中での工夫が欠かせません。

装置の取り扱いを守る

ブラケットやワイヤーは力が加わると変形しやすく、破損すると調整を要します。
マウスピース矯正でも、マウスピースの変形や紛失が起これば、新しい装置を作り直すために時間が必要です。

日常生活では、硬い食べ物を避けたり、装置に負担がかかる習慣を見直すことが大切です。
装置を外す必要がある場合は清潔なケースに保管し、誤って破損させないよう注意してください。
とくにマウスピースは熱によって変形しやすいため、高温の場所に置かないよう配慮が必要です。

歯科矯正を早く終わらせるには自己ケアの徹底が大切

ワイヤー矯正は、調整のタイミングや精度が治療の進行に影響します。
マウスピース矯正は、装着時間が不足すると歯の動きが遅れやすく、計画にズレが生じます。
どの方法でも、口腔トラブルや装置の破損が起こると治療が中断し、結果として期間が延びるため、日々のケアと正しい扱いが欠かせません。

医療法人社団MORI DENTAL CLINICでは、装置ごとの注意点やセルフケアのコツを分かりやすく説明し、治療をスムーズに進めるためにサポートします。
矯正期間が気になる方は、まずはご相談ください。

監修者

森 健

森 健

Mori Dental Clinic 院長

<略歴>

  • 2008年3月 明海大学歯学部卒業
  • 2008年4月〜2009年3月 明海大学病院勤務
  • 2009年4月〜2017年7月 都内歯科医院勤務
  • 2017年9月〜 Mori Dental Clinic開院

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