インビザラインの治療期間はどれくらい?期間を短くする方法も紹介

インビザラインは透明なマウスピース(アライナー)で歯を動かす矯正方法で、見た目への負担が少ない点が特徴です。
ただし、治療期間は症例やプランにより差が生じるため、開始前に大まかな期間を知っておくとスケジュールを立てやすくなります。
この記事では、インビザラインのプラン別の治療期間の目安と、期間を短くする具体的な方法、アライナーの管理ポイントを解説します。
これから矯正を始める方が、自分に合う治療計画を立てるための判断材料として役立ててください。
プラン別|インビザラインの治療期間の目安

インビザラインは、症例の難易度に応じて複数のプランが用意されており、それぞれで治療期間の目安が異なります。
仕上がりの希望や歯の動かし方によって最適なコースが変わるため、各プランの特徴を把握しておくことが重要です。
ここでは、代表的な3つのプランの期間目安を紹介します。
- ・インビザライン・フル
- ・インビザライン・ライト
- ・インビザライン・ファースト
治療計画を検討する際の比較材料として、参考にしてください。
インビザライン・フル
全体的な歯並びや噛み合わせを調整したい方に向けた、標準的なプランです。
幅広い症例に対応できるため、アライナーの枚数が多くなる傾向で、治療期間も比較的長くなります。
一般的には1年半~2年程度が目安とされ、必要に応じて追加アライナーを作成しながら最終的な仕上がりを整えていきます。
また、上下の歯のズレや複数の歯を大きく移動させるケースは、計画が複雑になるため、期間が延びることも。
しかしながら柔軟性が高いプランのため、多くの症例で希望に合わせた調整が可能です。
治療後の安定性を重視したい方にも適した選択肢といえます。
インビザライン・ライト
比較的軽度の歯列不正を整えるためのプランで、前歯の軽いがたつきや小規模な位置調整を希望する方に適しています。
使用するアライナー枚数が限定されるため、全体矯正より短期間で治療が進みやすい点が特徴です。
治療期間の目安は半年~1年ほどで、追加アライナーも必要最小限に抑えられるケースが多い傾向です。
一方、歯を大きく動かす症例や噛み合わせの改善が必要なケースでは適応外となる場合があります。
希望する仕上がりがライトプランで対応可能かどうかは、精密検査に基づいて判断されます。
インビザライン・ファースト
混合歯列期の子どもを対象としたプランで、永久歯が生えそろう前の段階から歯列の土台を整えることが目的です。
顎の成長を利用しながら歯の位置やスペースを調整するため、将来の本格矯正がスムーズになります。
治療期間はおおむね半年~1年半ほどで、成長段階に合わせてアライナーを交換しながら進めていきます。
このプランでは、歯の並びを整えるだけでなく歯列の幅を広げたり、前歯の適切なスペースを確保したりと、成長期ならではのアプローチが可能です。
乳歯と永久歯が混在する時期は個人差も大きいため、治療計画は定期的に見直しながら進行します。
将来の負担を抑えたい保護者の方にとって、有効な選択肢といえるでしょう。
インビザラインの治療期間を短くする方法
インビザラインは、日常生活に取り入れやすい矯正方法ですが、個々の準備や治療中の過ごし方が治療期間を左右します。
ここでは、治療前と治療後に分けて、期間を短縮するために押さえておきたいポイントをまとめました。
- ・治療開始前にできること
- ・治療開始後にできること
自分にできる対策を把握し、効率よく治療を進めるための参考にしてください。
治療開始前にできること
口腔内の状態が整っていない場合、治療計画が予定どおり進まず、追加の工程が必要になる可能性があります。
ここでは、治療開始前にできる期間を短縮する方法を3つ紹介します。
- ・虫歯・歯周病を治療する
- ・部分矯正を検討する
- ・治療方法を組み合わせる
治療を検討中の方は、ぜひ実践してください。
虫歯・歯周病を治療する
虫歯や歯周病が残ったまま治療を始めると、計画どおりに歯が動かず、治療期間が長くなる可能性があります。
炎症がある状態ではアタッチメントが外れやすくなるほか、痛みが出てアライナーの装着が不十分になることも。
事前に治療を済ませておけば、アライナー交換のサイクルを乱さずに進められるため、全体の期間短縮につながります。
スキャン前にクリーニングを受けて歯面を整えることも、治療計画の精度を高めるうえで有効です。
部分矯正を検討する
歯全体の大きな移動が不要な場合は、部分矯正の選択により、治療期間を短くできる可能性があります。
とくに前歯の軽い乱れや傾きの改善が中心であれば、必要なアライナー枚数が少なく、全顎矯正よりも短期間で仕上がるでしょう。
治療範囲を限定することで、負担を抑えながら効率よく歯を動かせます。
ただし、噛み合わせの改善が必要なケースや奥歯の大きな移動が求められる場合は、部分矯正だけでは対応できないこともあります。
症例によって適応が異なるため、事前の精密検査で最適なプランを医師と相談しましょう。
治療方法を組み合わせる
インビザライン単体では時間がかかる症例でも、ワイヤー矯正や補助装置の併用により、効率よく歯を動かせる場合があります。
たとえば、歯のねじれや大きな移動が必要なケースが例にあげられます。
この場合、最初にワイヤーで基礎的な位置を整え、インビザラインに移行することで治療期間の短縮が可能です。
また、拡大装置などを併用してスペースを確保すれば、アライナーの移動量が減り、治療計画が安定するでしょう。
ただし、治療内容は個々で異なります。
最短で仕上げるための方針について、事前に医師とすり合わせることが重要です。
治療開始後にできること
インビザラインの治療期間を短縮するには、開始後の過ごし方が大きく影響します。
アライナーの特性上、毎日の装着時間や口腔内の環境が歯の移動に直結するため、日々の積み重ねが重要です。
ここでは、治療期間を短縮するために、開始後に取り組める方法を3つ紹介します。
- ・アライナーの装着時間を守る
- ・口腔内を清潔に保つ
- ・定期的に通院する
治療を早く終わらせるためにも、これらの点を守りましょう。
アライナーの装着時間を守る
インビザラインは、長時間の装着によって歯を少しずつ動かす仕組みのため、毎日の装着時間が治療期間に直結します。
推奨される20〜22時間を守れない日が続くと、アライナーが歯にフィットしません。
その結果として追加アライナーが必要になり、治療が長引く原因になります。
食事や歯磨き以外の時間は基本的に装着し、外している時間を最小限にすることが大切です。
生活リズムに合わせて装着ルールを作ることで、忘れることなく治療に取り組めるでしょう。
口腔内を清潔に保つ
アライナーを効率よく作用させるためには、口腔内の衛生状態を良好に保つことが欠かせません。
歯の表面に汚れや歯石が残っていると、アライナーのフィットが悪くなり、歯の動きが遅れる可能性があるためです。
また、清掃不足によって虫歯や歯肉炎が生じると治療を中断せざるを得ず、結果として全体の期間が延びてしまいます。
食後はできるだけ歯磨きし、難しい場合でもうがいを習慣化して、汚れの蓄積を防ぎましょう。
定期的に通院する
インビザライン治療は、定期的な通院によってアライナーの適合状態や歯の動きを確認し、計画どおりに進んでいるかをチェックします。
フィット不良やアタッチメントの脱離を放置すると、歯が予定どおりに動かず、治療の遅れにつながりかねません。
異常がある場合も、早期に対応すれば追加アライナーの枚数を抑えられる可能性があるため、通院スケジュールを守ることが大切です。
また、口腔内の衛生状態や噛み合わせの変化を適切なタイミングで確認しておくことで、治療全体の精度も高まるでしょう。
関連記事:歯科矯正にかかる平均期間はどれくらい?短期間で済むケースと工夫も紹介
アライナー取り扱い時の注意点

インビザラインのアライナーは薄い樹脂で作られており、取り扱い方によっては変形や破損が起こることがあります。
状態が損なわれると歯へのフィットが悪くなり、治療が長引く原因となるため、日常的な扱いには注意が必要です。
ここでは、取り扱い方法を3つ紹介します。
- ・熱で変形するため、高温にさらさない
- ・未装着時は、専用ケースに入れる
- ・専用の洗浄剤で清潔に保つ
治療期間の短縮にも直結するため、基本的なルールを押さえておきましょう。
熱で変形するため、高温にさらさない
インビザラインのアライナーは熱に弱く、高温に触れると変形してしまいます。
変形した状態で装着を続けると、歯が計画どおりに動かず治療期間が延びる原因となるため、日常的に温度管理へ注意が必要です。
熱湯での洗浄や直射日光の当たる場所への放置、車内への置き忘れは避け、ぬるま湯での手入れを徹底しましょう。
未装着時は、専用ケースに入れる
アライナーを外している間は、必ず専用ケースに入れて保管することが大切です。
むき出しのままポケットやバッグに入れると、圧力が加わって割れたり曲がったりするおそれがあります。
また、ティッシュに包んで置いておくと、誤って捨ててしまうケースも少なくありません。
清潔な状態を保つためにも、食事や歯磨きの際は決められたケースに入れ、持ち歩く際も管理を徹底すると安心です。
専用の洗浄剤で清潔に保つ
アライナーを水洗いするだけでは、細かな汚れや細菌を十分に除去できず、においや変色の原因になる場合があります。
長期間快適に使用するためには、専用の洗浄剤を使って清潔な状態を維持することが大切です。
専用の洗浄剤を定期的に使用すれば、樹脂素材を傷めずに衛生状態を保ちやすく、アライナーの劣化も防げます。
インビザラインの計画を立てるには治療期間の把握が大切
インビザラインの治療期間は、選ぶプランや歯の動かし方によって大きく変わります。
期間を理解したうえで治療に臨むことで、スケジュールの見とおしが立てやすくなり、治療中の不安も軽減されるでしょう。
医療法人社団MORI DENTAL CLINICでは、精密検査をもとに一人ひとりに適したインビザライン計画を提案しています。
口腔内スキャンによる正確な診断と丁寧なカウンセリングで、治療期間や費用を明確にしながら進められるため、初めての方でも安心して相談できます。
インビザラインをご検討中の方は、まずカウンセリングで疑問を解消し、自分に合った治療計画を立ててみてください。
監修者
森 健
Mori Dental Clinic 院長
<略歴>
- 2008年3月 明海大学歯学部卒業
- 2008年4月〜2009年3月 明海大学病院勤務
- 2009年4月〜2017年7月 都内歯科医院勤務
- 2017年9月〜 Mori Dental Clinic開院