歯並びが悪いと周りの目が気になるだけでなく、歯周病や虫歯などの口腔のトラブルを引き起こす可能性があります。放置しておくと、心身にさまざまな悪影響を及ぼしてしまうでしょう。
歯並びが悪くなってしまう要因としては、いくつかの理由が考えられます。例えば生活習慣や加齢などです。
この記事では、歯並びが悪くなってしまう原因や歯並びが悪いことによるデメリット、歯並びを改善する方法などを紹介します。
目次
歯並びが悪くなったときに考えられる主な原因・理由
歯並びが悪くなった場合、考えられる原因や理由について紹介します。心当たりがあるかどうか確認してみましょう。
遺伝
歯並びが悪い原因の一つに、遺伝によって引きおこされる場合があります。歯の大きさや歯の形、顎の形などは、親から子に遺伝する可能性があるためです。
歯並び自体が遺伝するわけではないのですが、顎の形など土台となる部分が遺伝すると歯並びに影響することが考えられます。
ただし、実際に歯並びが悪くなるのは、遺伝に限らず生活習慣なども影響するため、改善できる余地はあるでしょう。
加齢による筋力低下
歯並びが悪くなる要因として、加齢による筋力の低下が挙げられます。
加齢に伴い、さまざまな部分の筋力が低下してきます。脚や腕だけでなく、顎などの口まわりの筋力にも影響するでしょう。口まわりの筋力や舌の筋力が低下してくると、舌が歯を押し出してしまったり食事の際に歯を押さえつけてしまったりします。
その結果、歯に負担がかかるため歯並びが悪くなってしまうでしょう。
親知らずによる圧迫
歯並びは、親知らずによる原因も考えられます。親知らずは、顎の成長が終わった10代後半に生えてくる奥歯です。多くの場合、スペースがない状態で歯が生えてくるため、横に生えたり他の歯を圧迫したりするでしょう。そのため、歯並びに悪影響を与える可能性があります。
歯周病や虫歯の進行
歯周病や虫歯が進行し、歯が抜けたりかけたりしている場合、残っている歯の並びが悪くなることがあります。特に歯周病の場合、歯の根元の骨が溶かされるため、不安定な歯並びになってしまう可能性があるでしょう。
また、食事の際に歯が痛い部分を避けて噛むことも歯並びが悪くなる原因となります。片側だけで噛む癖がついてしまうと、顎がずれて歯並びが悪くなるためです。さらには、顎の関節症を発症してしまうことも考えられるでしょう。
食べ方や口周りの悪癖
食べ方や悪癖が原因となることもあります。例えば舌で前歯を押す癖や、飲み込む際に舌を前に出す癖がある場合、前歯に負担がかかり歯並びを悪くするでしょう。開咬やすきっ歯、出っ歯などの原因となります。
歯を食いしばったり歯ぎしりをしたりする癖も、歯並びを悪くする原因です。顎や歯に体重の何倍もの力がかかってしまい、奥歯がすり減って前歯が前方に出てしまうこともあります。
歯並びを悪くする生活習慣
生活習慣が歯並びに影響する場合があります。今の時点ではきれいな歯並びであっても、歯並びを悪くする生活習慣を送っている場合、将来的に悪くなる可能性もあるでしょう。
歯並びが悪くなる生活習慣を以下に紹介します。心当たりのある人は、注意が必要です。
口呼吸をしている
口呼吸をすることは、歯並びを悪くする生活習慣と言えます。
口呼吸は、長時間口が開いたままの状態となります。その場合、舌の筋肉や口まわりの筋肉が衰えてしまう可能性があるでしょう。筋肉が衰えると、前歯が前方に出て来ることがあるため、歯並びが悪くなってしまいます。
また口呼吸の場合、舌が本来の位置よりも下になるため、上顎の成長が止まってしまう可能性もあるでしょう。
頬杖をしている
頬杖をしている場合、口まわりや顎に強い力がかかります。そのため、噛み合わせや歯並びに、悪い影響が出ると言えるでしょう。特に片側だけで頬杖をする癖がついてしまうと、歯並びだけでなく顔のバランスも崩れてしまう可能性がありため、注意が必要ですストレスがかかっている
ストレスが直接の原因で歯並びが悪くなることはありません。しかしストレスが原因で、歯の食いしばり、歯ぎしり、唾液量の低下などを引き起こしていた場合、歯並びにも影響します。過度のストレスが継続している場合、口の渇きや歯ぎしり、食いしばりなどの症状がないか確認することが大切です。
この状態を放っておくと、歯並びが悪くなるだけでなく、歯の土台に影響を及ぼして歯を失うリスクも考えられます。
姿勢が良くない
姿勢が歯並びに影響することがあります。ストレートネックや猫背など、姿勢が悪いと骨格や噛み合わせ、歯並びが悪くなるでしょう。特に猫背の場合、口が開きやすくなります。口が開いていると、口まわりの筋肉が低下してしまうため、結果的に歯並びに悪影響が出ます。そのため、正しい姿勢でいることが重要と言えるでしょう。
食生活が良くない
歯並びには食生活も影響します。やわらかい物ばかりを食べていると、噛む習慣が無くなり口まわりの筋肉が衰えるでしょう。筋肉が衰えると、歯並びを維持することが難しくなります。
また歯を丈夫にして歯並びを整えるのがカルシウムです。大豆や青菜、海藻、小魚など、カルシウムを摂取できる食事を心がけないと、歯並びを維持することが難しくなるでしょう。
歯並びが悪いことによるデメリット
歯並びが悪い場合、見た目の問題だけでなく、身体にさまざまな影響を及ぼします。放っておくと悪化するため、早めに対処するのが良いと言えるでしょう。
頭痛や肩こりの原因になる
歯並びが悪いと、噛み合わせのバランスが崩れてしまうことがあります。。その場合、口まわりの筋肉が強張ってしまい、肩こりや頭痛を引き起こす可能性が高いです。噛み合わせに問題が出ている場合、食べ物を噛む際に使用する側頭筋に悪影響が出るでしょう。側頭筋は頭の横から顎関節につながっています。側頭筋に悪影響が出てしまうと、肩こりや頭痛の原因になることが多いです。
顎関節症の原因になる
悪い歯並びは顎関節にも影響を及ぼします。歯並びが悪いと、顎に過度のストレスがかかり、関節を痛めてしまうことが多いです。顎関節症になった場合、動きが制限されるため、日常生活に影響します。口の開け閉めが困難になり、顎に痛みが出ることも考えられるでしょう。
顔面の痛みや耳鳴り、首の痛み、頭痛など、多くの範囲に悪影響が出ると考えられます。
しっかり噛めなくなる
歯並びが悪いと、食べ物をしっかり噛めなくなります。そうすると、顎に偏った方法で力がかかってしまい、骨にダメージを与えてしまうでしょう。その結果、歯周病が悪化したり、歯根が折れてしまったりする場合があります。また、顎の骨や歯、歯茎に大きな負担となるでしょう。
精神的に不安定になる
歯並びの悪さは、顎の骨だけでなく、精神的な負担になる場合もあります。噛み合わせが悪いと、口の落ち着く位置がわからなくなるため、イライラしてしまうでしょう。さらに、身体全体が不調となり、精神が不安定、気分が落ち込みやすいなどの症状が出る可能性もあります。
発音がしづらくなる
歯並びは発音に直接つながります。歯並びが悪いと、特定の音を正しく発することができず、コミュニケーションがうまく取れない可能性も出てくるでしょう。また母国語だけでなく、外国語を習得する際にも不利になると言えます。理由として、思った通りに発音ができないと、学習意欲を低下させてしまうことなどが考えられるでしょう。
口臭を引き起こしやすくなる
歯並びが悪いと歯磨きがしづらい状態となります。そのため、歯に食べかすが残ったままとなり、口臭がひどくなることが考えられるでしょう。さらに、そのまま虫歯になってしまうと、口臭がより悪化してしまう可能性もあります。
歯周病や虫歯になりやすくなる
歯を健康に保つためには、毎日の歯磨きが重要です。しかし歯並びが悪いと、歯をきれいな状態に保つことが難しくなります。歯ブラシが届かない部分が出てくるため、食べかすなどが残ってしまうためです。
その状態を放っておくと、虫歯や歯周病になってしまう可能性が高まります。
歯並びをよくする方法
歯並びが悪いと、他人の目が気になったり、虫歯や歯周病の原因になったりするため、改善したいと考える人も多いでしょう。歯並びをよくするには、歯の矯正治療が必要です。
歯の矯正治療にはいくつかの種類があるため、このあとそれぞれの治療期間やメリット、デメリットなどを説明していきます。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯の表面に矯正装置を取り付ける方法です。
項目 |
説明 |
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治療方法 |
ブラケットと呼ばれる装置を歯に取り付け、ワイヤーでつなぎます。ワイヤーの力で歯を動かしていく治療です。 |
治療期間 |
1年半~2年が目安 |
メリット |
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デメリット |
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マウスピース矯正
ワイヤーやブラケットは使わず、透明のマウスピースを使用した治療です。
項目 |
説明 |
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治療方法 |
マウスピースを取り替えながら徐々に歯を動かしていく方法です。そのため個人に合わせた歯型で、マウスピースを複数製作します。 |
治療期間 |
6ヶ月~2年が目安 |
メリット |
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デメリット |
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部分矯正
部分矯正とは、歯の全体を矯正する全体矯正とは違い、歯並びが悪い一部分だけを治療する方法です。
項目 |
説明 |
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治療方法 |
部分矯正は、一部分だけを対象にした矯正治療です。治療方法としては、ワイヤー矯正、マウスピース矯正があります。 |
治療期間 |
6ヶ月~1年半が目安 |
メリット |
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デメリット |
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悪い歯並びの主な症例
歯並びが悪い症例には、いくつかの種類があります。以下は、悪い歯並びの症例についての紹介です。
開咬
開咬(かいこう)は、歯を噛み合わせた時に前歯だけが噛みあわない状態のことです。常に前歯が開いているので、前歯で食べ物を噛み切れない、空気が漏れて発音が悪いなどの影響があります。
また噛んだ時に奥歯だけが当たるため、奥歯に負担がかかってしまうこともあるでしょう。その場合、奥歯が割れたり欠けたりする可能性があります。
交叉咬合
交叉咬合(こうさこうごう)は、噛み合わせた時に上の歯と下の歯が「互い違い」になる状態のことです。前歯は上の歯が出ていて、奥歯は下の歯が出ている場合などになります。交叉咬合は「すれ違い咬合」「クロスバイト」とも呼ばれており、歯の一部分のみに力がかかってしまうことが多いです。そのため顎の関節を痛めてしまう可能性があります。
過蓋咬合
過蓋咬合(かがいこうごう)は、歯を噛み合わせた時に上の前歯が下の前歯に覆いかぶさるようにして、下の前歯が見えない状態を指します。下の前歯が上の前歯の裏側に当たるため、歯茎を傷つけたり歯がすり減ってしまったりすることも考えられるでしょう。
また、顎にも負担がかかる可能性もあり、さまざまな症状を引き起こしてしまう可能性も高いです。上顎前突(出っ歯)
上顎前突(じょうがくぜんとつ)は、歯を噛み合わせた時に下の歯に比べて上の歯が前に出てしまう症状です。「出っ歯」と呼ばれている状態になります。上の前歯だけが出ている場合と、上顎自体が前に出ている場合の両方が考えられるでしょう。
上顎前突になってしまう要因としては、下で上の前歯を抑える癖や指しゃぶりなどの後天的な要因と、顎の骨のバランスが悪い先天的な要因などが挙げられます。
下顎前突(受け口・しゃくれ)
下顎前突(かがくぜんとつ)は、歯を噛み合わせた時に上の歯に比べて下の歯が前に出てしまう症状です。一般的には「しゃくれ」「受け口」などと呼ばれている状態になります。下顎前突になってしまうと、発音や滑舌が悪くなるでしょう。
特に「さ行」の発音がしにくく、人前で話すことに苦手意識を持っている人もいます。
上下顎前突
上下顎前突(じょうかがくぜんとつ)は、歯を噛み合わせた時に上と下の両方の前歯が前に出てしまう症状です。口を閉じるのが困難となり、口の中が乾燥しやすくなってしまいます。そのため、歯周病や虫歯のリスクが高くなるでしょう。
前歯が出ているため力が入りにくく、前歯で食べ物を噛みちぎったりすることが難しくなります。
叢生(でこぼこ)
叢生(そうせい)は、歯がでこぼこに生えている症状です。顎が小さく歯が生えるスペースが無かった場合に引きおこります。犬歯が前に出ている「八重歯」も叢生の症状の一つです。
歯がでこぼこしているため、歯磨きがしづらく歯周病や虫歯になる可能性が高くなります。
空隙歯列(すきっ歯)
空隙歯列(くうげきしれつ)は、歯と歯の間にすき間がある症状です。前歯だけにすき間がある場合は、歯全体にすき間がある場合など、さまざまな種類があります。一般的に「すきっ歯」と呼ばれている状態です。
歯に比べて顎が大きかったり、歯が小さかったりした場合に引きおこります。歯のすき間から空気が漏れるため、発音しにくくなる場合があるでしょう。また食べ物を噛み切れないなど、食事にも影響が出る場合があります。
歯並びをよくしたいなら森デンタルクリニック
歯並びを改善したい場合は、専門の歯科医に相談し適切な治療を受けることが重要です。そのためも、クリニック選びが重要と言えるでしょう。
森デンタルクリニックは、前歯専門の歯科医院です。歯並びをよくしたい部分だけを治療することができます。森デンタルクリニックの特徴は次の通りです。
特徴 |
説明 |
低価格で矯正が可能 |
前歯だけの矯正の場合、38万5千円〜(税込)の治療費となります。デンタルローンを使用することも可能です。 |
短期間で矯正が可能 |
治療期間は、およそ3〜6ヶ月です。気になる部分だけを矯正するので短期間で、痛みも少なく利用を進めることができます。 |
歯を抜かない |
歯を抜くことなく矯正することが可能です。そのため、矯正前と後で噛み合わせが変わることはありません。 |
後戻りしにくい |
矯正治療後、裏ワイヤーを装着するので、後戻りの可能性が低くなります。 |
歯並びに関するよくある質問
ここでは、歯並びに関して良くある質問をまとめています。
大人になっていくうちに歯並びが悪くなることはある?
子どもの頃は歯並びが良くても、大人になってから歯並びが悪くなる場合があります。歯並びは、大人になってからでも変化するものです。
例えば就寝中に無意識に歯ぎしりしている場合、歯並びが悪くなる可能性があります。歯ぎしりは大きな力が歯にかかっている状況です。このように、慢性的に長期間、歯に力がかかっていた場合、歯並びが悪くなっていくでしょう。また、歯が割れたり欠けたりする可能性もあるため注意が必要です。
急に歯並びが変わることはある?
急に歯並びが変わることもあります。口腔内に変化が生じた場合です。
例えば歯が抜けた状態を放置しておくと、短い期間で歯並びが変わる可能性があります。また歯周病の影響で炎症が広がったりすると、歯の土台となっている骨を溶かすため歯並びが変わることもあるでしょう。
歯並びが悪くならないための予防の方法は?
歯並びが悪くなるのは、いくつかの原因があります。それらの原因を取り除くことで、歯並びが悪くなるのを予防することが可能です。以下に予防方法をまとめています。
予防方法 |
説明 |
歯周病や虫歯の早期治療 |
歯周病や虫歯を放置しておくと、無意識のうちにその部分を避けて食事することになります。一部分にだけ負担がかかるため、歯並びが悪くなるでしょう。 歯周病や虫歯は早期に治療するのが良い判断です。 |
悪い習慣や癖を直す |
口呼吸、爪噛み、頬杖など、歯並びに悪影響を及ぼす悪い癖を改善することで予防ができます。 |
よく噛む |
食事の際はよく噛むことを心がけておくと、口の周辺の筋肉が発達して歯並びが悪くなるのを予防できます。 |
定期検診を受ける |
歯科医院で定期的に口の中や歯並びを検査してもらうことで、自覚していない異常を発見できます。 |