歯並びは自力で治せる?7つの矯正方法を徹底比較!

「歯並び」が悪いと、見た目が悪いだけでなく、さまざまなトラブルの原因になります。例えば、歯並びが悪いことによって歯磨きの磨き残しが発生しやすくなり、虫歯や歯周病のリスクを高めます。悪い歯並びを放置することは決して良いことではないのです。

そこで今回は、悪い歯並びを治す7つの方法、自力で治せるか、注意点について解説していきたいと思います。

1.歯並びを治す方法

まず最初に、一般的な歯並びの治し方をいくつか紹介しておきます。

1-1 症状に合わせて矯正で治す

多くの方が利用することになる方法としては「歯列矯正」が挙げられます。これは、歯科医院で治療を受けることで歯並びの悪さを改善するという方法です。方法によってさまざまな特徴があります。

1-1-1 どんな矯正方法があるのか?

現在の医療技術で利用できる矯正は以下のような内容となります。

  • ブラケット矯正
  • マウスピース矯正
  • ダイレクトボンディング
  • 抜歯矯正
  • インプラント矯正
  • セラミック矯正
  • 外科手術

1-1-2 ブラケット矯正の特徴

ブラケット矯正は、多くの方がご存知だと思われる矯正法です。歯に装置を取り付けて、悪い歯並びを徐々に治す矯正法で、歯列矯正で最もポピュラーな方法です。仕組みとしては、装置を歯に取り付け、これにワイヤーを通すことで引っ張ります。この力によって、悪い歯並びを治すのです。
メリットとしては、第一に「費用を抑えられる」ということが挙げられます。少しでも治療費を安く抑えたい人にとっては最も利用したい矯正法です。次に「さまざまな症状に対応できる」ということです。ブラケットは丈夫であり、他の矯正方法と比較するとさまざまな症状に対応できます。

デメリットとしては、ブラケット矯正の多くが「金属(メタル)ブラケット」であるということです。これは、白い歯に銀色の金属が非常に目立つということと、金属アレルギーの問題も浮上します。
最近では、審美性を追求した「審美ブラケット」も利用できます。これは、歯に取り付けるブラケットを金属製ではなく、樹脂やセラミックなどの白に近い色の素材を利用する方法です。見た目がよく、非金属の素材なので金属アレルギーの問題も解消できます。ただし、費用は金属ブラケットよりも高くなります。

もしくは「リンガルブラケット」という方法もあります。これは、通常のブラケット矯正が歯の表側(他人から見られる側)に装置を取り付けるのに対して、歯の裏側(舌がある側)に装置を取り付ける矯正法です。上下の歯ではなく、上の歯だけリンガルブラケットで矯正する「ハーフリンガル」という方法もあります(笑う時に見えるのは上の歯だから)。しかし、リンガルブラケットやハーフリンガルは対応する症例と料金面で表側矯正に劣ります。

1-1-3 マウスピース矯正

次は「マウスピース矯正」について簡単に説明します。これは、透明なマウスピースを装着して歯並びの悪さを治す治療法です。ブラケット矯正と比較して「取り外し可能」という点が大きなメリットになります。また、透明であるため、よほど間近で見られない限り矯正装置の存在が露見することもありません。使い勝手と審美面においてメリットの大きな矯正方法であると言えます。

デメリットとしては、第一に「取り外し可能」というメリットがデメリットにもなり得るということです。患者さんが自分で簡単に取り外せるマウスピースは、装着時間を減らしてしまうリスクを抱えています。マウスピース矯正はずっと付け続けなければならないというわけではありませんが、長いものだと1日20時間以上装着していないと矯正の効果が不十分になる可能性が高いです。

1-1-4 ダイレクトボンディング

次は「ダイレクトボンディング」です。これは主に「すきっ歯」を治すために用いられている矯正方法です。歯科治療用のレジンを歯に盛り付けて、隙間を埋めることで歯並びの悪さを矯正します。
メリットとしては、歯を削る手順などが不要で、しかも短期間で治療が終わるという点が挙げられます。また、治療箇所が破損した場合でも、同じように比較的手軽にその部分を修復できます。

デメリットとしては、使用するレジンは長期使用による変色が激しいという点が挙げられます。また、審美性を高めたい場合はそれだけ治療費もかさむことになります。最も重要なポイントとしては、仕上がりのクオリティが担当する歯科医師の技量に大きく依存するということです。つまり、技量の低い歯科医師に治療を依頼した場合、出来上がりの満足度が低くなる可能性が高いということです。

1-1-5 抜歯矯正

次は「抜歯矯正」です。歯並びの改善で抜歯が必要になる理由としては、例えば「顎が小さい」という場合、歯並びがきれいになる=歯がきれいに並ぶためのスペースが十分に確保されていないことが多いです。この状況を改善するために、抜歯して歯並びをきれいにするためのスペースを確保するのです。

しかし、虫歯治療などのように既に健康とはいえない状態の歯を抜くのであればまだしも、そうでない場合でも抜かなければならないという点がデメリットになります。もちろん、歯並びを改善するために必要なことではあるのですが、少なからず抵抗を感じる人もいます。

1-1-6 インプラント矯正

次は「インプラント矯正」です。これは厳密に言えば「ブラケット矯正」の一つの形であると言えます。インプラントは、骨にチタンを埋め込むことで(チタンは骨との親和性が高い)しっかりとした土台を用意できる治療法です。これを固定源として利用して、ブラケット矯正を行うというのが、インプラント矯正です。

メリットとしては、通常のブラケット矯正よりも高い治療効果が期待できるということです。具体的な結果については患者さんごとに異なるのですが、固定源が強固になることによって高い治療効果が望めることは確かです。矯正に必要な期間も短くなる可能性が高いです。しかし、デメリットとして第一に治療費が通常のブラケット矯正よりも高額になるという点が挙げられます。また、比較的新しい技術であるため、どの歯科医院でも利用できるというわけではないという点もネックです。

1-1-7 セラミック矯正

次は「セラミック矯正」です。これは、セラミックの被せ物を歯に装着することによって歯並びを改善する方法です。この治療方法は特に審美面に重点が置かれていると言えます。
メリットとしては、他の矯正方法と比較して治療に必要な期間が短いことです。セラミックの被せ物を装着するだけなので、徐々に歯を動かしていく矯正治療と比較して極めて短期間で歯並びを改善できます。しかし、治療のため(被せ物を装着するため)には健康な歯であっても削らなければならないことと、使用できる症状が限定されるというデメリットがあります。特に、全体的な歯並びの改善については、適していない治療法であると言えます。

1-1-8 外科手術

最後に「外科手術」です。これは、ブラケット等の一般的な矯正治療では歯並びの悪さを治すことができない症状に対して用いられます。内容としては、顎の骨を切除するといったものになります。
通常の方法では改善できないような歯並びの悪さであっても、劇的に改善できるという点が大きなメリットです。しかし、手術というだけあって全身麻酔が必要なほど本格的な治療内容になります。また、他の矯正治療と比較して施術後に何らかの症状が出るリスクが高まります。症状次第では保険が適用される可能性があります。

1-2 歯並びの悪さを自力で治す!?

次に、歯科医院やその他の医療期間を受診せず、「自力で歯並びを治す」ということについて解説します。

1-2-1 基本的に不可能

結論から言ってしまうと、歯並びの悪さを自力で治すことは不可能に近いと言えます。絶対にできないというわけではありませんが、お勧めできるかと言えばまず違うと言えます。

1-2-2 どういった方法があるのか?

自力で歯並びを治す方法としては、大きく分けて2つの方法が考えられます。まずは「力技」です。これは、例えば「出っ歯を指で押す」と言ったように、本来であれば矯正装置を用いて長い時間をかけて治療するものを自分の指の力だけで押し戻すといったような方法です。歯や顎に関する特定の癖や習慣が続くことで後天的に歯並びが悪くなる事が多いので、その逆のパターンと言えばわかりやすいでしょうか。

原理自体は他の矯正治療と似ている部分もあるのですが、危険な方法であるというイメージを第一に持っておく必要があります。なぜなら、ほとんどの人は歯列矯正や歯科治療の知識に乏しいからです。例えば「出っ歯だから押してやれば良い」という考え方は極めて危険です。確かに単純に考えればそうなのですが、指で無理に出っ歯の部分を押してやった場合、希望通りの結果になるとは限りません。出っ歯が治らないどころか、歯を傷つけたり、歯並びが余計に悪くなる可能性もあります。

また、歯並びの悪さに関して複雑な状態になっている場合、どこに力を入れてよいか判断が難しいこともあります。そうなると、歯並び全体を余計に悪くしてしまうリスクを抱えることになります。

もうひとつの方法は「悪癖を治す」ことです。これは「歯並びを悪くする習慣」を改善し、歯並びが悪くなるのを防ぐという方法です。例えば「頬杖」の癖がある人が多いですが、頬杖は片方の顎に負荷がかかります。これにより、顎がずらされてしまい、歯並びが悪くなります。

頬杖の他にも、さまざまな習慣・癖が歯並びの悪さを誘発する可能性があります。そうした習慣や癖を自覚した場合、意識してその習慣をやめる必要があります。それが子供の場合、なかなか自覚できないものですから、親が注意して改善する必要があります。

力技と比較して理にかなった方法ではありますが、「歯並びの悪さを治す」方法とは言えません。これはあくまでも「これ以上、歯並びを悪くしない」という方法であり、現状ですでに起こっている歯並びの悪さまでは改善できるものではありません。つまり、「ちょっと歯並びが気になるな」「これから歯並びを治す治療を受ける」という場合は習慣を改善することで歯並びにもプラスに作用しますが、それ以上に歯並びの悪さがひどく、治療を受ける予定もない場合だと、歯並びを良くできません。

2.歯並びを治す際の注意点

次に、歯並びを治す際に注意しなければならないポイントについて解説します。

2-1 医師の指示を遵守する

歯並びを治すことを「治療を受ける」ことに限定する場合、最も注意しなければならないポイントは「担当医の指示を守る」ことです。これが守れないと、治療効果が不十分になったり、治療期間が長引くことになりかねません。加えて、治療にかかる費用がかさむ可能性も十分に考えられます。

歯並びを治す方法の中には、治療期間が長いものが多いです。何年もかけて歯並びを少しずつ改善することもあり、根気よく治療を続ける必要があります。しかし、それはあくまでも正しい方法で治療を継続できた場合です。例えば「注意されていた食べ物を食べた」「マウスピースを長時間外した」など、正しく治療を継続するにあたりリスクになるような事があれば、治療効果は不十分となります。

注意しなければならないポイントは、治療内容によって異なります。一つ言えることは、治療において担当医から指示されるであろうことを守るべき、ということです。基本的に、医師が指示したとおりに治療を継続できれば、一定の治療効果は期待できるはずです。

2-2 痛みを伴うことがある

次に、矯正治療中は痛みを伴う可能性があるということです。確実に痛みが発生するというわけではありませんが、人によっては痛みにさいなまれる可能性があります。
矯正装置は、一定の頻度で調整や交換を行います。交換の際には数日ほど痛みが伴う可能性が高いです。とは言え、歯を動かすということを念頭に置いていれば、痛みが発生することは当然といえば当然なのです。

なお、歯科医院の多くは患者さんのスケジュールを加味し、近日に重要なイベント等がないタイミングで装置の調整・交換を予定します。痛みは交換から数日で治まることが多いので、痛みが出て困るイベント等の予定日には痛みが出ないようにある程度は調整できるのです。

3.まとめ

悪い歯並びを治すための方法は、基本的に歯科医院で矯正治療を受けることが必要になります。個人で実行できるトレーニングやグッズ等もありますが、確実性に欠けます。確実に歯並びの悪さを治そうと思うのであれば、歯科医院へ足を運び、まずはカウンセリングを受けてください。それで納得したら、矯正治療を開始しましょう。

監修者紹介

森デンタルクリニック
院長 森 健

矯正費用の高さや期間の長さで矯正自体を諦めて欲しくないという思いから「前歯部分矯正専門の歯科医院」を開業。「笑顔」にこだわり、来院したすべての患者様が自分史上最高の笑顔を手に入れられるような治療を目指している。

2008年3月 明海大学歯学部卒業 2008年4月~2009年3月 明海大学病院勤務 2009年4月~2017年7月 都内歯科医院勤務 2017年9月~ Mori Dental Clinic開院

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